秋深し
朝夕めっきり冷え込むようになりました。先日、金沢に近い山中まで漆器の依頼の為に行きました。前夜から降り続いた雨もようやく止んだものの、やはり寒さが奈良とは異なり、一段と冷え、雪が近いな!と思われました。30年程前は時折り来た所が、すっかり変わり、駅前は、どこでも見かける集合商業施設(ショッピングモール)の大きな建物がどん、と出来ている割には人気が少なく、多分近い将来開通する新幹線を見越した先行投資なのでしょう。そんな事を思いながら、昔馴染みの漆器屋さんの迎えの車に乗り、お店と言っても工房兼自宅へ案内されました。小高い山裾に連なる集落を一つ二つと、見覚えのある山辺のお寺へ続く登り道を走り抜け、その前の家へ止まりました。何かふと30年前初めて来た頃の事が思い出されます。しかし、家の構えは昔より数段立派な今時のおうちでした。昔は大家族だったなぁ~等と思いながら、漆を実際に塗る職人でもある御主人と営業的な事をされる奥さんは、私も、もちろん30年の月日と共に年老いていました。でも話出すと以前と何も変わらず、こちらの注文をしっかりと何とかしてやろうという気持ちの伝わる、良いお二人のままでした。電話の注文では、伝わらない、細やかな所まで聞いていただき、サンダーバードに乗って2時間来て良かったと思ったものでした。とりあえず、仕事の話を1時間余り話し込み、それはそうと、お元気ですかと帰り際に体調の話になり、お互い70歳を越えた者同士、大病を一つ二つは持っていると聞き、変に納得するとは老人の挨拶なのかと思うばかりでした。それにしても、新型コロナが一段落という事で、関西から温泉目当ての人が多いのにも驚きでした。サンダーバードもほぼ満席。日帰りの山中行きでした。