樹齢800年の欅材
令和2年が始まって、2ケ月が経ちました。お正月を終える頃 d’origine(ドリジーヌ)の内装、
インテリアのイメージを考え始めました。昔から親しくさせていただいている家具作家の方に相談を
持ち掛けたところ樹齢800年の素晴らしい欅があるとの事。
その材を使って「コンセプトの表現が出来るのではないか」と思い早速、滋賀の材木店へ
赴く事にしました。暖冬とはいえ、湖北の寒さは格別、ひっそりとした町中の材木店では、沢山の
材木が所狭しと立てかけられている中で、私と同年配の御主人が一人、ダルマストーブを前に待って
くださってます。入口近くには、ぶ厚い板が、重機に吊り下げられて、私達を待ち構えていました。
これが、800年の欅なのかと近づいて見、触ってみると目の細やかな、何とも静かな、
ゆったりとした品格のある材の美しさに素人の私でさえ、心惹かれる物がありました。
友人の作家は、自身の人生(60余年)で、二本の指に入る素晴らしい材との事、その言葉も少しは、
理解出来たなと思いながら、御主人と友人の作家とのこの材木をめぐるお話を聞き、その日は、
滋賀を後にしました。以来、私は800年の欅の事が頭から離れません。予算も余裕のない中、高価な
欅を、どう使う事が、欅にとっても、私にとっても本当に生きる事になるのか、悶々とする日が続き
ました。設計者、作家さん、工務店 等々と相談はしても、確たる所は出ません。結局、私がどう考え、
何に使うかを考えるより他ありません。
2月中旬、湖北をもう一度尋ねる事にし、欅を見、価格交渉をし、結果、買う事としました。
2ケ月間考え抜いたのですが、今も嬉しい気持ちと同時に本当に生かせる事が出来るかという一抹の
不安が残る毎日です。とは言うものの、必ず、d’origine(ドリジーヌ)の顔になってくれると期待
するところでもあります。
東大寺二月堂、修二会も本行が3月1日から始まります。お松明も上堂します。
本当の春は、これからです。
コロナウイルス等に負けないで、元気でいたいものです。