井上千鶴の言葉
井上千鶴のことば
江戸ガラス、ビードロ展 ーMIHO MUSEUMー
春のお彼岸が来ると、ようやく寒さも一段落。春めいた空気を感じる頃になりました。
江戸ガラスの展覧会がミホミュージアムで有ると聞き、車を走らせました。
信楽へは、奈良から一時間半程度、山間を駆け抜けますが、新芽には少し早く、
まだまだ冬の景色が続く中、巨大なセメントの橋梁が現れ、
どこに継ぐ道の建設なのかと思いながら、ひたすら走ります。
ようやく山の中腹の拓けた所に自然と調和した美しい美術館や、宗教団体の施設や
庭園へと入って行きます。
いつ来ても整備されたアプローチ(庭園)は、美術館というよりは、理想郷へ
誘うかのようでもあります。
トンネルをくぐり、山の森林の中間にぽっかり、建っているかのような
ミュージアムに足を踏み入れると、そこは、別世界のような、空気感が流れます。
「宗教とは、美しさの中に在るもの」と言っているかのように思えます。
そこに展示されている江戸ガラスは、吹きガラスやガラスの細い管、ビーズ等を
江戸趣味の世界に繊細に型作られた独特の美を表現しています。
正倉院のガラスやペルシャの銀化したガラスやあるいは、アールヌーボーやアールデコの
ガラスとも全く異なる、美の世界が、そこには出来上がっています。
とてもとても美しい日本的なものです。
車でないと、ちょっと不便なミホミュージアムですが、この展示は6月迄されているようです。
暖かくなって芽吹く頃、散策を兼ねて行くよいコースです。
おすすめします。