井上千鶴の言葉
井上千鶴のことば
平成29年 幕開け
年末より穏やかな日が続きます。
暦の上では、寒に入り冬真っただ中という事ですが、年を重ねる毎に
穏やかな感じがするのは、温暖化の為なのでしょうか?
年末近くに、1週間ほど、ロンドン、エジンバラ(スコットランド)に
行きましたが、こちらも凍てつくというよりは、日本の冬と同じような
感じで、さほどの寒さは感じませんでした。
地元の人達も、今年は暖かいと言っていたのですが、それにしても、
街も村も、郊外の景色も、何処を見ても、ゆったりとした自然と建物が
調和した景観が、どこまでも広がっています。
石、レンガを基調に、木を配した建物は、古い物では400年も
使い継がれているとか。それらは、新しく洒落た建物ではとうてい表現できない
深い味わいを湛えています。大きな看板や、驚くような色使いの建物や、旗等も
なく、都市全体が調和した色使いと、まるで音楽を奏でるかのような一体感が
そこにはあります。
ロンドン郊外のコッツウォルズでは、日本の室町時代頃に町が形成されたと
思われる宿場町のホテルが、今もホテルとして営業されていたり、古い石垣を
生かし、崩れた所を補修し、違和感なく、その上に可愛らしい蔓性の小花を
配して一服の絵にしています。
日本も歴史ある国として観光でこれから益々、海外の人達を招きたいと考えて
いますが、英国の人々の町づくり、景観、古い物を大切にし、尚、新しい物との
融和、バランスのとれた「くらしの美」を見ると、まだまだ、日本は成長し、
大人の美意識、精神性を養う必要があるとつくづく感じる旅でした。