シルバーウィーク
秋の長雨が終り、彼岸花が一気に咲き出しました。
今年は5連休で何処に行っても賑やかな事です。
私は、神戸、大阪の私設の美術館を訪ねました。
先日NHKでドラマ化された阪急の小林一三さんの
逸翁美術館は、その影響もあって多くの人が訪れて
いました。展示品は、もちろん古美術としての価値の
高い物、素敵な物が並んでいるのですが、それ以上に
小林一三さんが世界各地に行き、その地の美しい物を
好きな茶道に「見立てて」使う自己流の取り合わせを
楽しまれていた事が窺えました。
さすがに独自の才覚で鉄道、映画、歌劇、百貨店、
都市開発 等々、多角経営を操り広げられた方らしい
所蔵品の数々でした。
次に訪れたのは40年も以前に住んでいた阪急御影駅に
程近い香雪美術館です。
朝日新聞の社主 村山氏の美術館です。
駅付近は道路が拡幅され昔の面影は見い出せないものの
隣接する弓弦羽神社の森は、健在でした。娘の三歳の
お参りに来た時の事が懐かしく思い出されました。
美術館も緑が茂り、震災の爪痕等も何事もなかったかのような
佇まいでした。九州の黒田家の特別展が催されていました。
中でも革の陣羽織は永楽通宝の大きな家紋を染め抜き
戦国武将の豪快な美を思わせる逸品でした。
そして、最後は大阪都島の藤田美術館へ向いました。
広い敷地の中には高野山の塔頭から移築されたという
桃山時代の多宝塔が庭の一部に溶け込んだように
立っています。山田寺跡の礎石や東大寺の礎石が
点在する庭園の中に蔵を改築した展示室が在りました。
ひっそりとした蔵の中には素晴らしい古美術品が並んで
います。ぞくぞくするような逸品揃いです。法隆寺の
仏像を思わせるアルカイックスマイルの釈迦三尊仏の
石龕、漆が堆み重なった屈輪の凛とした合子、
玄奘三蔵等を描いた仏教説話の絵巻物 等々が
静かに迎えてくれます。奥行のある展示品の数々は
帰り際、藤田美術館所蔵品目録を見て、重ねてその
凄さに驚かされました。
美しい物、凄い物をただ見るだけでなく、それを身近に
置いて実際に使えたら、手にとれたら、もっと楽しい
だろうなと叶わない事ながら少し残念な気分になりました。
私にとっては身の丈に合った道具で楽しむのが気楽で
良いのかもしれません。(持ってない者の強がりかなー)