井上千鶴の言葉

井上千鶴のことば

お盆

 

猛暑の勢いが少し衰え、何となく秋空めいてきました。

高校野球も終盤を迎える頃、毎年お盆の行事が

始まります。とは言え、昔、実家で母が忙しくしていた

思い出の中の事なのですが。現実の私は少し念入りに

家の掃除をする位で、お供え物やお花を整え、

日頃はメニューにない精進料理の材料を買出しに行く程度の

事です。いつもは一人分の食材も仏様用の細々とした

買い物も結構な嵩になるものです。母が近所の市場へ

何度も足を運んでいた様子が目に浮かびます。

50年以上も昔の事です。用意している中、

近しい人々の顔写真を見ながら

いろいろな思い出と光景が浮かびます。

 

考えてみれば、こんな思いになる「自分」は一体

何時その「己」の自覚を持ちその気持ち、思いは

一体この先どうなるのか、生命が滅んでしまえば

もちろん、その「己」の自覚も滅んでしまうのでしょうが

それはどういう感覚なのか、既に他界した人々が

居る所へ行くなんて事があるのでしょうか。(一番

それを望んでいるのですが)

全く解らない事です。幼い頃、死別という場面に

遭う度に、又、いつか私も亡くなれば、その時は

会う事が出来る、私を迎えに来てくれると浄土の

教えそのままに信じていたものです。

この齢になっても、そうであって欲しいと思うのは

誰も行った事のない世界であるだけに勝手な思い

込みでも良いのではと思います。

その方が、今生きている自分にとっては、行き易く

又、次の世で会いたい人々に会える、言い残した

事も会って話せるという希望が湧いてきます。

何にも増して、一人で暗い暗い所へ行くのではなく

きっと、亡くなったムーやハナやトムやジムやメアリーに

囲まれた博道や海雲さんや父、母が迎えに来てくれる

と思うと、そっちの世界も楽しいのではと思えてくる事が

嬉しい事です。

そんな事を思いながら用意完了、お盆を迎え

般若心経を唱えました。

 




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