井上千鶴の言葉

井上千鶴のことば

日本の伝統文化と今

 

とても大きなテーマを揚げて一体どういう事と

思われるでしょう。

28年前、私と博道は好きな日本文化の中でも

特に室町時代から桃山時代にかけての所謂

今、日本の伝統文化と言われる礎を築いた

時代。最も大胆で豪快、そして精神的には、

日本人としてピークを成したこの時期に開花

した文化を思いながら物を創り影像を撮って

来ました。そして、会社としてのコンセプトを

そこに置いて現在まで歩んで来たのですが、

日本の伝統文化を今に生かすという事が何か

解らない。商品作りの中に、それがどう反映

されているのか。色の華やかさなのか、

あるいは文様なのか?

という問いに対して私は一時どのように答えれば

よいのか考えてしまいました。

ここに、少しその答えの一部を書いて見ようと

思います。

 

私の思う所の日本の伝統文化とは、色・形・文様・

インテリア・エクステリア・建築・香り・雰囲気・食・

音・自然、ありとあらゆる物に存在する中で、日本の

感性、極論を言えば、井上企画・幡の場合は、私の

(博道も含む)感性の所在その物なのです。

私は、時々美しい物を見に美術館や庭園に行きます。

そして、自分の目、感性を確認します。

(本当はそんな大層な事ではなく楽しむのですが)

あるいは、デパートや良いお店と聞けば見にも

行きます。絵画や写真の展覧会にも行きます。

お茶会にも行きます。いろいろな物を見、手で

触れ体験もします。そうする事によって、自分自身の

中に良い物、美しい物、本当に大切な事、いろいろな

規準が出来上がると思います。

もちろん、その時代時代の感性も同時に変化して

行きます。が、その中に流れる不変な何かが必ず

あります。それをいつも見たいと思っていろんな所へ

出かけるのかもしれません。

私自身この所、写真の仕事に時間を費やしている

ので、中々会社の皆ともコミュニケーションがとれず

何となく疎遠になって行くのが寂しいのですが、

私の後ろに続く人達は以上のような気持ちでいた

博道や私の気持ちを解ってもらいたいと思います。

そして、これからは、貴女達が日本の自然・美術・

芸術・建築etc. 良い物、素晴らしい物を

沢山沢山 見て感じ勉強して商品作りに生かして

欲しいと思います。多分そういう熱い思いがあれば、

お客様も他の企業にはない日本の伝統の今の

担い手を井上企画・幡の中に見出していただけると

信じています。

こんな事を言うと又、「抽象的な事ばかり言って

そうすれば良いの」という声が聞こえそうですが、

それしか言いようがありません。

考えてください。

 




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