井上千鶴の言葉

井上千鶴のことば

 

 

 

落葉

 

秋も本格化し、道を歩いていると街路樹の落葉が

一歩一歩歩みを進めるその先々にいろいろな表情を見せてくれる

そんな季節になりました。

街中でもアスファルトに落葉があるだけで

自然と近くに居ると思えるのはとても心が安まります。

 

家の前の歩道に市が植えた「モチ」の木以外に

自然に生えた「センダン」の木が徐々に大きくなって

今では向かいの電柱が見えなくなるほどに育ちました。

その枝、葉が10月~12月にかけてどんどん落ちます。

1,2週間に一度は掃除をしますが

明くる日にはもう枝がいくらも落ちています。

それをくり返して、お正月ごろにはすっかり落ちきるのですが

それまではいつも家の前の歩道は自然な感じの落葉が積もっています。

 

ところが、その中に紙屑や煙草の吸殻、ジュース缶などが混じっていると

たまらなく嫌な気持ちになります。

自然とは異なるものがそこに在ると、全く別の風景になる。

極端な言い方をすれば、醜悪な場面になるということです。

 

こんなことを感じるのは私だけでしょうか。

 

博道が一時、嫌な風景というタイトルで写真を撮りためていたときがありました。

のどかな田園風景の中にセメントで貼り固められた川や

街路樹が枝を張るまでにどんどん剪定され、棒のような状態で並んでいる様子や

大きな風景の中に道を通すために山の一面を切り取り

セメントで網目のように固められた壁面など

枚挙にいとまがないほど、痛々しい影像が続きました。

 

人間が自然とどう折り合いをつけて生きていくのか

ますます問題の根が深くなっていくように思えてなりません。

こんな事を考えながら、深まりいく秋の風情をこの先1カ月間はゆっくり楽しみたいものです。

 

 

 

 




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