酒井抱一の秋草図屏風を見て
東京国立博物館で展観中の酒井抱一の秋草図屏風が見たくて上京しました。
日本の伝統を継承する為に縄文時代より近代の逸品までが
陶、磁、漆、絵画、仏教美術、染織、金属工芸、刀剣などいろいろなジャンルで
一堂に展観されていました。
その中でもとりわけ人気の秋草図屏風は
銀箔の二曲双の屏風の上に描かれているもので
なんといっても見所は空間のあり方と雨に濡れて重くなった草花が
いかにもあでやかな風情を表しているこの日本的な美しさにあると思いました。
岩絵の具の美しさも鮮やかで、銀箔も年月が経っているにもかかわらず
黒ずむこともなくしっとりとした光を放っていました。
何よりもこんなに美しい屏風が光琳の風神雷神図屏風の裏側に描かれたものだとは
なんと贅沢なことなのかと驚き、時代の権力者の偉大さに圧倒されました。
もちろん現代ではそれぞれが二曲一双の屏風として伝えられているのですが
時の権力者の富と力が集中するほど、その時代の良いものが創られ伝世されたのでしょう。
これに限らず何もかもがすごいものばかりで時を忘れて見入ってしまいました。
余りにも見入ってしまう物の連続だと、毎回思うことですが
その後は目が奥に入るように疲れてしまいます。
緑を見て歩きながらその疲れを取り
長年の友人と楽しい食事をして
充実した休日を過ごしました。