井上千鶴の言葉

井上千鶴のことば

 

母の死

 

96歳の母が永眠しました。

父が70歳で亡くなってから26年間独りで過ごした後の死でした。

後半6年間は施設にお世話になったのですが、多くの人達との暮らしとは言っても

もちろん家族とは違って我儘も言えず、好きなことも、好みの食事もできず

ただ身体に良いメニューをこなす毎日で、本人の意思に反し6年余りの間、長生きさせていただきました。

私は3日に一度、洗濯物やお花の入れ替えやらで母に会いに行くのですが

その都度(意識のはっきりしている頃は)「もう早くお爺ちゃんやお母ちゃんのところに行きたいわ!」と何度も聞かされ

それに対して私は何も言えず、「神さんが迎えにきはる迄は頑張って生きないと!」と答えるだけでした。

 

半年程前からは私が実の娘である事もはっきりとは解らなくなり

2週間ほど前からはほとんど寝たきりの状態で、呼びかけると薄目を開けるだけでした。

いよいよだなぁと思ったのは3日前で、苦しむこともなく逝ってしまいました。

次の世へ行って父母や主人(私の父)に会って「やっと来れたわ」と喜んでいると思います。

 

実家に居るときの母は好きな植物の鉢植を楽しんだり、いつもお洒落に気を使ったり

友人と麻雀を楽しんだりと一人になってからもそれなりに生活を楽しんでいるように思えました。

私もこの年齢になり、そう遠くないその時、何をどう行動するのかつくづく考えさせられました。

 

お母さん、長い間、ありがとう。感謝しています。

 

 

 

 

 

 




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